土壌汚染がもたらす代表的なリスクは、土壌汚染による不動産取引への影響です。土地取引においては土壌汚染が無いことを契約の条件とすることにより、リスク低減が図られることが多いのが現状です。こうしたリスクは健康リスクと異なり、土地の売却時、開発時等において生じうる経済的なリスクが主体となります。土壌汚染が判明したため建設途中のマンションを取り壊したケースをはじめ、土壌汚染が原因となった不動産取引への深刻な影響が各地で発生しています。しかし、多くの不動産売買及び証券化では法律及び条例等に該当しないケースがあり、その証明基準は各開発事業者に委ねられることとなります。このような場合、必ずしも土壌汚染対策法で規定する調査内容が適切とは限りません。ある程度の情報を不動産売買当事者間が適切に把握している状態にあれば、その情報をもとに臨機応変な調査方法を選定すればよいのです。売主及び買主双方がすべての利害関係者の判断基準を明確に理解する事で、無用な土壌汚染調査を避け必要最小限の調査を実施し、リスク低減が可能となります。 |