株式会社KGS
 
 
水文調査(すいもんちょうさ)
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水文調査(すいもんちょうさ)は、工事による地下水や表流水への影響を明らかにするために行います。

地下の掘削(地下空間の掘削・地下鉄及び上下水道の施工等)、河川の改修(河床の
掘り下げ・堤防の増改築等)、トンネル掘削等の施工によって、水の涸渇や水質変化が
懸念される場合に実施します。

例えば、河川と井戸のある住宅が隣接している地域で、河床の切り下げ(掘削)を行う場合、
井戸の地下水位と水質に影響を及ぼす可能性があります。

以下に、実際におこなった調査事例を紹介します。

この事例では、河川水と井戸の関連性を把握するため、工事前から
工事後にかけて定期的な水位計測および水質分析を行いました。

  1. 水位計測
水位観測は、工事対象の河川と井戸、ボーリング観測井戸で行います。
河川および井戸の水位は、触針式水位計(図1)を用いて、定期的に測定します。
ボーリング観測井戸の水位計測は、小型水圧式水位計(図2)を用います。

この機器は、圧力センサーによって水位変化を電気信号に変換し、
あらかじめ設定した間隔で自動的にデータをメモリーに保存するようにできています。

大気圧に対しての補正機能が無いため、同型の気圧計(バロメーター)を別途設置する必要があります。

  2. 水質分析
水質分析は、工事対象となる河川、井戸、ボーリング観測井戸で行います。

飲用項目のうち12 項目(表1)と、イオン8 項目(表2)です。
このうち、表1 の項目は工事前後での水質変化の有無の確認のために行うものです。

また、表2 の項目は6 角形のヘキサダイヤグラム(図3)を作成し、水質パターンを
判定して地下水のゾーン区分を検討するために用います。


  3. まとめ
「とりまとめ代表例」を図3に示します。

地下水位のデータを基に地下水位コンター(等高線)を作成し、地下水の流向を推定します。
また、斜線で示している部分がヘキサダイヤグラムから推定した水質ゾーン区分です。

この図から、各井戸の地下水の供給源が推定できます。また、河川工事の前〜後にかけて
これらの計測・分析を行うことによって、地下水が工事によってどのような影響を
受けたかを評価できます。