近年、構造物のメンテナンスに伴う調査がクローズアップされておりますが、年代の古い土木構造物など では、当時の施工図面が現存しない等の理由で基礎形状や根入れ長が不明であるケースが存在し、構造物の更新や耐震照査などを行う際に問題となっています。 このような場合、地盤調査手法を用いて杭長根入れ深さを推定することができます。 |
埋設杭および残置杭の種類には、鋼矢板(シートパイル)、鋼管杭、PC 杭、場所打ち杭、松杭等がありま
すが、杭の種類に応じて適切な調査方法を選択します(表 1)。
ここでは、橋脚基礎根入れ長を調査した事例(図 1)を紹介します。
本ケースは、速度検層とボアホールレーダ探査を組み合わせた手法です。 |
速度検層は、基礎杭やフーチングなどの基礎構造物近傍(1m 以内)に掘削したボーリング孔内に受振器
を深度ごとに設置、移動させ、構造物などをハンマーで打撃することにより、速度変化から根入れ深度を
推定するものです。 そのため、対象とする構造物が地表にない場合は、計測できません。 検層結果は図 4(左)に示すとおり、標高 81m 付近で明瞭な速度差が確認されました。
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ボアホールレーダ探査は、基礎構造物近傍(およそ 50cm 以内)に掘削したボーリング孔内にアンテナを深度ごとに設置、移動させ、発射した電磁波(電波)の反射波が受振アンテナに到達する強さおよび時間から根入れ深度および離隔距離を推定するものです。 探査結果は図4(右)に示すとおり、標高 81m 付近までの強反射下端が推定基礎根入れ深度です。 現地状況に合った適切な調査手法を組み合わせることにより、精度の高い結果が提供できます。
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